サブマリン会田が開幕ローテ急浮上
そっと小さく息を吐いた。気後れなどしない。セットポジションに入ってから、十分な間合いで李をじらすと、会田は右腕をしならせた。「あそこはゲッツーを狙ってました」直球と同じ球筋から急に落ちるシンカーで、巨人の主砲の感覚をずらすと、力のない打球が一塁線へ転がった。
6回1死一、三塁のピンチ。カウント0―1から自身の決め球で、4番打者を注文通りの一ゴロ併殺打。「気持ちで引く部分がなかった。そこが良かった」と、表情ひとつ変えずに言ってのけた。堂々としたマウンドさばきに李も「打ちにくいタイミングを持った投手だと思う」と実力を認めた。
地面すれすれから放たれる直球の最速は、130キロに満たなかった。だが、球速120キロ前後のシンカーが鋭く沈む。カットボール、ツーシームも打者の手元で微妙に変化した。「球速は全く気にしていないんで。どれだけバッターの手元でボールをずらせるか。緩急をどれだけ使えるかです」100キロ未満のスローカーブも試しながら、1軍主力が並んだ打線に真っ向勝負を挑んだ。
4回に登場し、いきなり高橋由、李、ゴンザレスのクリーンアップと対戦。1軍未登板の2年目には、プレッシャーがかかる場面だが、1死一塁から、ゴンザレスを狙い通り遊ゴロ併殺打に打ち取った。12個のアウトのうち、2併殺を含む7個を内野ゴロで奪った。
ヤクルトでサブマリン右腕として通算29勝を挙げた父・照夫さん(59)も大喜び。ネット裏で息子の雄姿を見届け「私もゴロで打ち取れる時は調子が良かった。打者の手元で変化している」と、目を細めた。
7回、古城にタイムリー三塁打を浴びたが、4回6安打1失点、無四球は圧巻の内容。3回をパーフェクトに抑えた12日の紅白戦に続く好投に、原監督も「会田はずっといいですね。自分の間合いで投げている」と絶賛。若手の先発争いは激化しているが、尾花投手総合コーチは「姜、内海は順調。会田もいい感じで来ているね」と、3番目に名前を挙げて称賛した。
昨秋キャンプで下手投げに転向してから、野球人生が変わった。開幕ローテ争いに食い込むまで急成長した会田は「大学時代は完投もしていた。先発で、という気持ちは強いです」と、言葉に力を込めた。夢は、目標に変わった。
サブマリン会田が開幕ローテ急浮上
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